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| 美味しい日本酒のお話 第二話・色の濃い酒 |
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| 当社の製品について最もお問い合わせが多いのは、お酒の「色」についてです。 竹鶴の酒の色が濃いのは、自他ともに認めるところです。 まずみなさんにご理解いただきたいのは、程度の差こそあれ、自然に造った酒には色があるということです。ビール、ワイン、ウイスキーなど、他の酒類のほとんどには、色があることが当然とされています。でも日本酒においては、なぜか無色透明が尊ばれています。 酒はお米を原料とし、「麹(こうじ)」や「もと」という、多彩な微生物たちに働いてもらう工程を経て生まれます。 こうしてお米の複雑な味わいを溶かし込んだ酒が、どうして無色透明に見えなければならないのか、理解に苦しみます。 酒蔵でご覧いただければ一目瞭然なのですが、発酵中の醪(もろみ)には色があります。したがって、搾った酒には新酒の時点から色があります。それが自然です。 また、火入れ(加熱殺菌)や熟成によっても色は濃くなっていきます。それも自然なことです。 実は、酒を白く=i脱色)するのは簡単です。「活性炭素(冷蔵庫や靴の脱臭剤などにも使われています)」を使って濾過をすれば、どんな酒でも、「水のような」見た目に変えることができます。 ところが、活性炭素は色だけでなく、味や香りも取ってしまうので、脱色した酒は、結果的に没個性でバランスが悪く、味わいも不自然な酒になりがちなのです。 ではなぜ、酒に色があることが嫌われるようになったのでしょう? その昔、粗悪な酒が横行した時代がありました。それらの酒の色が濃かったため、「色=劣化のバロメータ」という図式が酒業界内に浸透していったようです。 そこで、酒の審査や品評会などにおいて「色」は悪者扱いされ、市販酒でも活性炭素で脱色することが当たり前になりました。 脱色などの加工を、酒業界内で「化粧」と肯定的に呼ぶようになったのも、そのためです。 まさに色の白いは七難隠す≠ナすね。そんな背景があり、活性炭素濾過をしない酒のほうが珍しくなり、世間一般でも、「色がある酒=問題のある酒」ということが《常識》になってしまったというわけです。 竹鶴酒造では、酒本来の風味と熟成を重視し、酒らしい酒を追求し続けています。 そうした姿勢から、いくら濃くなろうと、それが自然な色だとの誇りと愛着を抱いております。 化粧≠フすべてを否定するわけではありませんが、私どもは、酒を素顔のままで≠ィ届けし、味わっていただきたいと考えています。 ですから竹鶴酒造では、どの酒にも活性炭素は一切使用しておりません。 つまり、色があるままの商品化は、明確な意図があってのことなのです。 ところで、酒の劣化と結びついた着色の原因としてよく知られているのは、鉄分の混入です。 竹鶴酒造の仕込水(自家井水…深さ126m)は鉄分がほぼゼロです(0・01ppm以下)。 また、鉄分混入防止のため、配管のステンレス化やホーロータンクの傷の補修も可能な限りやっております。 ただし、仕込水の性質から、麹の酵素がよく効き、色が出やすいという特徴があります。 それに、竹鶴の方針として、麹をしっかり造り、ある程度米も溶かして旨味を出す、ということがありますが、これも色が濃くなりやすい造り方だと言えます。 他蔵の無濾過の酒などと比べても色が濃いのは、そういったことに由来します。 ですから竹鶴の酒の色は、何らかの原因による「着色」ではなく、それが「地の色」、つまり個性なのです。 酒の色にマイナスのイメージがあるのは承知しておりますし、ただ色が濃ければよいと考えているわけでもないのですが、だからといって私どもは、脱色しようなどとは毛頭考えておりません。 脱色は、自然の恵み、授かりものであるはずの酒に人為的な加工を施すことですし、脱色することで酒の味わいが深まるとは思えない、要するに、脱色することがお客様のためにならないと思うからです。 それよりも、酒の色への偏見を払拭したいという使命感を抱いて、これからも自然な色の酒を造り続けていく覚悟でおります。 みなさんには、竹鶴の酒に限らず、酒に色があるというだけで飲まず嫌い≠ノならないでいただきたいと思います。「美味しそうな色だ」などと、目でもお酒を味わってくだされば幸いです。 さて次回(第三話)は、酒の色にも影響する「熟成」についてのお話です。 竹鶴酒造 杜氏 石川達也 |
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